香港で有名なIFAの一つに「アテナベスト(Athena Best Financial Group)」があります。この記事を読んでいる人の中にも、契約している人がいるのではないでしょうか?
アテナベストはある程度の歴史があり、日本人顧客も多いですが、運用成績は良くありません。
今回は「アテナベストの会社概要や運用利回り」を紹介していきます。運用実態をよく把握した上で、アテナベストに運用を任せるか検討しましょう。
もくじ
1、IFAとは?
2、IFAによって運用成績が変わる
3、アテナベストの概要
・会社概要
・運用利回り
・日本人カスタマーサポート
・運用報告会
4、アテナベストとの契約方法
5、アテナベストの金融商品『メティス・インテリジェンス』とは?
6、まとめ
7、YouTube動画はこちら!
IFAとは?
はじめにアテナベストをはじめとした、IFAの概要について説明していきます。
IFA(Independent Financial Adviser)とは、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる投資会社のことです。海外投資においては、このIFAが運用プランを考え、運用の指示を行います。以下の全体像をイメージすると分かりやすいです。
IFAは海外投資において非常に重要な役割を担っています。上記のとおり、実際に運用を行うのは金融機関ですが、運用プランを考えるのはIFAになります。つまり、顧客の資産が増えるも減るもIFA次第ということになるのです。
顧客の資産を運用する海外金融機関だけでなく、運用プランを考えるIFAを選ぶことも重要になるのです。
IFAによって運用成績が変わる
海外投資では、IFAによって運用成績が変わります。言い方を変えると、顧客の資産が増えるかはIFA次第ということです。
IFAの運用が順調であれば、顧客の資産は増えていきます。ただ、IFAの運用成績が悪いと、顧客の資産が減ってしまうこともあるのです。
香港には600社以上のIFAがあります。そのなかで日本人が契約できるIFAは限られますが、せっかくなら高い運用成績を残しているIFAを選ぶべきです。
具体例として、実際に香港にあるIFAを下記で比較してみます。
【具体例】
毎月の積立額:5万円
積立期間:25年間
総積立額:1,500万円
平均運用利回り:A社…2.5%、B社…10.0%
※手数料は加味していません
※為替変動は考慮していません
このように、平均運用利回りによって最終的な資産が大きく変わります。運用成績が良いIFAを選ぶことは海外投資の最重要項目であることを覚えておきましょう。
アテナベストの概要
それではアテナベストの会社概要と運用利回りなどを紹介していきます。
会社概要
設立:2007年
受賞歴:香港優良企業TOP100、リーダーズチョイスアワード2020など
業務内容:資産運用サービス、ファイナンシャルプランニングサービス、ファイナンシャルプラットフォームサービス、リテール向けサービスなど
ライセンス
香港保険ブローカー協会
香港証券先物取引委員会
香港強制積立金制度管理局
英領ヴァージン諸島金融サービス委員会
マレーシアラブアン金融サービス庁
上記の受賞歴やライセンスなどから、アテナベストは体制が整っている優良企業であることがお分かりいただけると思います。ただ、運用成績には課題があります。
運用利回り
アテナベストの運用成績は良くありません。過去13年で2〜3%程度という低い利回りになっています(金融商品や運用方針によって異なります)。この運用成績では、運用益が手数料で消えてしまいます。
運用成績は年によってバラつきがありますが、2008年のリーマンショックで大きな影響を受けてしまいました。その後の運用で持ち直しましたが、回復しきれていないのが現状です。
運用成績だけを取るなら、他のIFAを検討した方が無難だと思います。
日本人カスタマーサポート
アテナベストには日本人カスタマーサポートがあります。クレジットカードや住所の変更手続きを行ってくれたり、海外投資に関する質問に答えてくれたりするのです。もちろん、日本語で対応してくれます。
ただ、カスタマーサポートのサービスを受ける場合は、IDを送付したりメールを送ったりしなければならないことがあります。そのような手間を考えると、カスタマーサポートを使いづらいこともあるのです。
また、本来は日本人カスタマーサポートがあるというのはおかしな話です。なぜなら、アテナベストは日本国内での金融ライセンスを保有していないからです(香港の金融ライセンスはあります)。
このようなカスタマーサポートがあると、「日本国内で営業をしている」と取られてしまう可能性があります。将来的にトラブルになる可能性はどうしても否定できませんが。
アテナベストが悪いわけではありませんが、トータル的なサポートを考えると、信頼できる正規代理店を選んでおくことが一番重要になります。
運用報告会
アテナベストは日本で運用報告会を開催しているようです。
ただ、あまり運用成績が良くないので、参加者がトーンダウンしてしまうこともあるようです。
アドミニストレーションは定期的に運用報告会を実施していて、運用成績も残しているので、興味がある人はチェックしてみると良いと思います。
アテナベストとの契約方法
最後に「アテナベストとの契約方法」について紹介していきます。
アテナベストは日本人との契約やアフターフォローなどを外部委託しています。つまり、アテナベストを扱える代理店は多いということです。十年ほど前からこのような業務形態を取っていることもあり、たくさんの顧客を獲得できているのです。
ここで気を付けたいのが「代理店選び」です。とにかく契約を取ろうとする代理店や海外投資のデメリットやリスクをきちんと説明しない代理店には任せるべきではありません。
下記の基準を満たしていれば信頼できる正規代理店といえるので、参考にしてみてください。
・複数の海外金融機関・IFAと直接業務提携している
・FPおよび証券外務員の資格を有している
・海外投資のデメリット、リスクをきちんと説明してくれる
・海外積立商品のデメリット、リスク、手数料をきちんと説明してくれる
・担当者自身が海外投資を実践している
アテナベストの金融商品『メティス・インテリジェンス』とは?
アテナベストのようなIFAは、運用プランを考えたり契約手続きを行ったりします。顧客から資金を預かったり実際に運用したりするのは、海外金融機関(RL360、インベスターズトラストなど)なのです(下図参照)。
つまり、実際に金融商品を作っているのは海外金融機関になります。ただ、アテナベストはIFAにも関わらず、金融商品を作っているのです。
それがアテナベストの子会社である『メティス(Metis Grobal Group)』が販売している「インテリジェンス(Intteligence)」と呼ばれる積み立て型の金融商品です。
※ インテリジェンスの他にも、「ブライド」や「SMART-Ⅱ」などの金融商品もリリースしています
他の積み立て型の金融商品と同様に、複数のファンドを組み合わせてポートフォリオを組む仕組みです。
【参考】メティスのポートフォリオと平均運用利回り
BlackRockグローバルアロケーション:6.5%
マンインベストメンツ:6.4%
Harvestダイナミックナビゲーター:4.7%
JPモルガンエバーグリーンファンド:5.6%
ETFシステマチックトレーディング:8.7%
ABFストラテジック:3.5%
パシフィックインデックスポートフォリオ:4.9%
グローバルプロテクト90ポートフォリオ:1.9%
金現物ポートフォリオ:2.2%
※運用期間はポートフォリオによって異なります
メティスの商品構造は「RL360のRSP」や「インベスターズトラストのエボリューション」と同じです。
ただ、海外金融機関が関わっていないので、海外金融機関に払う手数料が発生しないのです。
「手数料が安くなるから優良な金融商品なのでは?」と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。なぜなら、IFAの手数料が割高なのです。顧客が負担する手数料は「RL360のRSP」や「インベスターズトラストのエボリューション」などとほとんど変わらないのです。
しかも、仮に運用成績が悪かったとしても、IFAのスイッチング(他のIFAに移管すること)ができません。その場合はアテナベストと心中するしかないのです。このような背景を考えると、メティスを選ぶリスクは高いといえます。
もし積み立て型の金融商品を検討しているなら、「RL360のRSP」や「インベスターズトラストのエボリューション」を選ぶべきです。いずれも、金融機関の信頼性が高く、日本人に人気の金融商品です。
まとめ
大手IFAであるアテナベストはたくさんの顧客を抱えています。ただ、運用成績はあまり良くありません。そのため、最近は新規加入者が少なくなっているのが現状です。
もし運用成績が良いIFAを選びたいのであれば、アドミニストレーションを検討すると良いと思います。長期に渡って高いパフォーマンスを残しているIFAです。
IFAとは一生の付き合いになります。運用成績はもちろんのこと、会社規模や日本人サポートなど、さまざまな項目を検討し、自分にとってベストな選択をするようにしましょう。