「海外投資であれば税金がかからない」というのは間違いです。もしあなたに海外金融商品を紹介してくる業者がそのようなことを言ってきたら、信用してはいけません。
海外投資であっても、利益が出れば税金を払わなくてはならないのです。ただ、その概要をきちんと理解している人は少ないかもしれません。
そこで今回は「海外投資にかかる税金」について詳しく解説していきます。税金の種類や金額、確定申告のやり方なども紹介していくので、海外投資を始めようとしている人は今回の内容をよく理解するようにしてください。
もくじ
1、海外投資にかかる税金
2、海外投資の税額
3、海外投資の確定申告のやり方
手順1、「投資の利益を証明できるもの」を用意する
手順2、確定申告書を用意する
手順3、確定申告書を作成する
手順4、確定申告書を提出する
手順5、税金を納付する
4、まとめ
海外投資にかかる税金
海外投資に関係する税金が一つだけあります。それは「キャピタルゲイン税」です。
キャピタルゲイン税:投資の利益(一般分配金)に対してかかる税金
国内投資においても海外投資においても、基本的には「利益が出ればキャピタルゲイン税を払う」と認識しておいてください。
海外投資の税額
ここまでの話で「海外投資で利益が出たらキャピタルゲイン税を払うのは分かったけど、実際にはどれくらいの金額になるの?」と思った人は多いはずです。
キャピタルゲイン税の税率は20.315%(所得税:15.315%、住民税:5%)と決まっているので、「利益額の20.315%」が税額になります。
例えば、海外金融機関を介して2,000万円のファンドを購入したとします。そして、そのファンドが20年後に4,000万円になったとします。この場合、利益(一般分配金)は2,000万円となるため、「2,000万円×20.315%=406万円」のキャピタルゲイン税がかかります。
このように、海外投資の利益は自分で把握しておかなければなりません。その金額は「資産額-投資額」で計算することができます。
海外投資であっても、ファンドの売買で利益が確定した場合など、運用中に税金がかかる場合があります。その場合は、自動的に資産から差し引かれます。そして、その税率は運用している国や地域によって異なります。
ただ、オフショアと呼ばれる税金がかからない地域で投資を行えば、運用中はキャピタルゲイン税がかかりません。一例ですが、「オフショアでない地域」と「オフショア地域」の比較は以下の通りです。
【具体例】
月々の積立額:5万円
運用期間:25年間
平均利回り:8%
・オフショアでない地域 ※運用中にキャピタルゲイン税がかかる
⇒25年後に約3,591万円
・オフショア地域 ※運用中にキャピタルゲイン税がかからない
⇒25年後に4,577万円
日本には「外国税額控除」という制度があります。国際的な二重課税を防ぐために作られた制度です。
オフショアでない地域であれば、すでに税金が引かれているため、外国税額控除が適用されます。そのため、自分で確定申告をする必要はありません。
「最終的に確定申告をしなくてよいなら、オフショアでない地域で運用した方が良いのでは?」と思うかもしれませんが、それは違います。
なぜなら、運用中に税金がかからない方が資産を大きく増やせるからです。上記の具体例の場合、オフショア地域で運用したときの利益は「4,577万円-1,500万円(積立額)=3,077万円」となります。そして、「3,077万円×20.315%=656万円」のキャピタルゲイン税がかかります。
この場合、実際に手元に残るのは「4,577万円-656万円=3,921万円」になります。
最終的にオフショアでない地域で運用するよりも、330万円も多くの資産を手に入れることができるのです。
どちらの地域で運用するか迷ったときは、迷わずオフショア地域を選ぶようにしましょう。
海外投資の確定申告のやり方
海外投資で利益を得た場合、確定申告をして自分で税金を払わなくてはなりません。特にオフショア地域で運用した場合は確定申告が必須になるので、やり方をしっかりと把握しておきましょう。
手順1、「投資の利益を証明できるもの」を用意する
運用レポートなど、「投資の利益を証明できるもの」を用意します。このレポートを元に利益を計算し、納税額を決めていきます。
手順2、確定申告書を用意する
「確定申告書」を用意します。税務署に行けば確定申告書を入手できますが、申告する所得の種類によって用紙が異なるので注意が必要です。
分からないことがあれば、税務署の人に確認するようにしてください。また、国税庁のホームページでも確定申告のやり方が解説されています。
手順3、確定申告書を作成する
確定申告書に必要事項を記入していきます。複数の税金を払う必要がある人は、キャピタルゲイン税の対象となる「配当所得」以外の項目も忘れずに記載するようにしてください。
計算方法などが分からなければ、税務署や確定申告支援センターに確認するようにしましょう。
手順4、確定申告書を提出する
所轄の税務署(住所によって決まる)に確定申告書を持参します。もしくは、郵送で確定申告書を提出することもできます。ただ、消印の日付が提出日とみなされるので、期限を過ぎないよう気を付けてください。
※ 年によって多少前後しますが、確定申告の提出期間は「2月16日~3月15日」です。
手順5、税金を納付する
税金を納付します。確定申告書を提出して安心するのではなく、忘れずに3月15日までに納付するようにしてください。
※納付方法は「振替納付」、「電子納付」、「クレジットカードでの納付」、「コンビニでの納付」、「現金での納付」があります。
まとめ
今回は海外投資に関係する税金について解説してきました。
「国内投資と違い、海外投資では税金がかからない」と誤解されていることもありますが、そのようなことはありません。日本人である以上、納税義務があることを忘れないでください。
サラリーマンの人などは確定申告に慣れていないかもしれませんが、税務署などに確認しながら行えば難しい作業ではありません。「税金を払う」ことも良い勉強になると考え、海外投資を行ってみてはいかがでしたでしょうか?