海外投資をはじめるに際に、「HSBC香港の口座を開設する必要はあるのだろうか?」と気にする人がいます。
結論からいうと、海外投資にはHSBC香港の口座は必要ありません。
今回は「海外投資でHSBC香港の口座が必要ない理由」について解説していきます。また、今回は最近は少なくなりましたが、口座開設ツアーを勧めてくる業者には気を付けてください。
もくじ
1、HSBC香港の概要
2、HSBC香港の3つのメリット
・世界中の現地通貨でお金を引き出せる
・複数の通貨で預金ができる
・金融商品に投資できる
3、HSBC香港の3つのデメリット
・使用していないと口座が凍結してしまう
・英語や中国語が話せないと口座を開設できない
・一定額の資金を入金しておかないといけない
4、HSBC香港の口座を持たなくてよい理由
5、HSBC香港の口座開設ツアーには要注意
6、まとめ
HSBC香港の概要
はじめにHSBC香港の概要について紹介していきます。
・正式名称:香港上海銀行
・世界最大のメガバンクグループである「HSBCホールディングス(本社はイギリス、1991年に設立)」の子会社
・1865年に設立
・香港ドルの発券銀行(香港では民間銀行が紙幣を発券している)
・筆頭株主:スワイヤー・グループ
HSBC香港の3つのメリット
次に、「HSBC香港で口座を持つメリット」を紹介していきます。
世界中の現地通貨でお金を引き出せる
HSBC香港は世界各国に支店があります。そのため、世界中のATMから現地通貨でお金を引き出すことができるのです。
外貨に両替してなくてよいので、海外旅行や留学、出張などの際はとても便利です。ただ、現地通貨に両替するときに為替手数料がかかるので注意が必要です。
HSBC香港は中国銀聯と提携しています。中国銀聯が発行している「銀聯カード(ぎんれんカード、*UnionPay)」は中国で最も使われているクレジットカードで、世界で65億枚以上も発行されています。
複数の通貨で預金ができる
HSBC香港では複数の預金通貨を持つことができます。下記のいくつかの通貨を選ぶことができるのです。
・米ドル
・香港ドル
・ユーロ
・ポンド
・スイスフラン
・人民元
・オーストラリアドル
・ニュージーランドドル
・カナダドル
・タイバーツ
・シンガポールドル
・日本円
ここで「通貨によっては高い金利が付くのでは?」と思う人もいるかもしれません。ただ、上記の通貨では高い金利が付くことはありません。
HSBC香港の口座は投資先として考えるのではなく、貯蓄先として考えるべきなのです。
金融商品に投資できる
HSBC香港の口座を介して、株や債券、投資信託などに投資することができます。
ただ、特別優良な商品に投資できるわけでありませんし、運用をしてくれるわけでもありません。また、高額な手数料がかかる場合があります。
株や投資信託への投資を目的とするなら、国内のネット証券で十分でしょう(ファンドマネージャーに運用を依頼する場合は別です)。
HSBC香港の3つのデメリット
続いて、「HSBC香港で口座を持つデメリット」を紹介していきます。
使用していないと口座が凍結してしまう
国内の銀行口座と違って、HSBC香港では使用してないと口座が凍結してしまいます。
2年間使用していないと自動的に口座が凍結してしまうので、その間に入金や出金、投資などを行う必要があります。
ただ、そのことに気を遣うのも大変ですし、口座凍結を防ぐためにHSBC香港を介して投資を行うのもあまりお勧めできません。
また、凍結した口座を使用できる状態に戻すためには香港まで行かなければなりません。手続きも大変ですし、放っておくと解約になる場合もあります。
これらのリスクやデメリットを考えると、あえてHSBC香港の口座を持つ必要性はないといえます。
英語や中国語が話せないと口座を開設できない
国内の銀行と同様に、口座開設の際には窓口で手続きを行わなければなりません。
ただ、そのときに日本語を使うことはできません。英語か中国語でないと手続きを受け付けてくれないのです。
口座開設ツアーなどでは事前に応酬話法を教えてくれますが、覚えるのが面倒ですし、必ずうまくいくとも限りません。現在は凍結口座が多いなどの理由で、日本人の口座開設が受け入れづらくなっているのです。
一定額の資金を入金しておかないといけない
HSBC香港では、口座開設時に一定額の資金を入金しなければなりません。日本の銀行のように、ほぼ無料で口座開設をすることはできないのです。
最低預金額は口座のランクによって決まっています。具体的には下記のとおりです。
【HSBC香港口座の最低預金額】
Personal Integrated:5,000HKD(約7万5千円)
Advance:20万HKD(約300万円)
Premier:100万HKD(約1,500万円)
Jade:780万HKD(約1億1,700万円)※法人・富裕層向け口座
「Personal Integrated」を作りたいと考える人もいると思いますが、日本人が作れる口座は「Advance」以上になります。
日本人が口座開設をしづらくなっている理由と同じですが、少額しか入金していない口座が大量に放置されているため、日本人への制限が厳しくなっているのです。
Advanceの300万円という最低預金額を考えると、HSBC香港の口座開設は現実的ではないといえるでしょう。
HSBC香港の口座を持たなくてよい理由
以上のメリットとデメリットを鑑みると、HSBC香港の口座を持つ必要はありません。
世界各国で現地通過でお金を引き出せるカードは、HSBC香港だけではありません。国内の銀行でもそのようなカードは発行しています。
また、HSBC香港以外にも、複数の通貨で預金できる銀行はあります。そして、投資先としても魅力的ではありません。
それらのメリットよりも、口座凍結リスクや一定額の資金を入金しておかなければならない制限の方がデメリットとして大きいです。わざわざ香港まで行って口座を開設する価値はないといえるでしょう。
HSBC香港の口座開設ツアーには要注意
最近は少なくなりましたが、一昔前は「HSBC香港の口座開設ツアー」が流行っていました。「海外口座を持てる」というプレミア感を出し、海外投資に興味のある人を集めたのです。
口座開設のサポートだけでなく、香港の観光などのオプションも付いていました。宿泊は豪華なホテルが用意されています。
これで妥当なツアー料金であればよいのですが、合計で30万円くらいする場合もあります。また、これまでお伝えしているとおり、そもそもHSBC香港の口座を開設する必要はありません。
海外積立商品も海外生命保険も、海外口座を持っていなくても特に問題はありません。ほとんどの日本人が実践しているように、日本にいながら海外投資を始めるようにしましょう。
まとめ
今回は「HSBC香港の口座開設の必要性」についてお話してきました。
再三になりますが、HSBC香港の口座を持つ必要はありません。また、日本の金融庁はHSBC香港の口座の中身まで確認できるので、秘匿性もありません。
HSBC香港の口座開設を勧めてくる業者に注意し、適正な海外投資を検討するようにしましょう。